確率論サマースクール2011
プログラム
講義内容
- 1次元KPZ方程式とその普遍性〔笹本智弘〕第二版:7月26日
独立同分布に従う$N$個の確率変数の和の揺らぎは、$N$が大きい極限で、よく知られているように中心極限定理によってオーダーは$N^{1/2}$であり、分布は正規分布で与えられる。これに対し、1次元の界面成長を記述するKPZ方程式の時刻$t$における界面高さ揺らぎは、$t$が大きい極限で、オーダーは$t^{1/3}$であり、分布はランダム行列理論に現れるGUE Tracy-Widom分布で与えられる。本講義では、後者の揺らぎの性質について、その背景の 説明から始めて実際に極限分布を導出する所までを解説する。- 講義の予定
1. イントロダクション...KPZ普遍性とは?
2. ASEPの推移確率
3. ランダム行列
4. ASEPのカレント揺らぎ
5. KPZ方程式
- 講義の予定
- 対称マルコフ過程の加法汎関数に関する話題〔竹田雅好〕第一版:7月26日
対称マルコフ過程の一構成法として、また対称マルコフ過程の解析手段としてディリクレ形式論は発展してきました。 ディリクレ形式論は$L^2$-理論であり、そのことがフラクタルや無限次元空間上の拡散過程など特異なマルコフ過程を構成・解析するのに適したものにしています。 一方で、マルコフ過程は分布を問題にするという意味で$L^1$-理論であり、各点から出発する法則$P_x$を問題にするという意味で$L^\infty$-理論と言えます。 そのギャップを埋めるために、対称マルコフ半群の増大度に関する$L^p$-独立性をDonsker-Varadhan型大偏差原理を使って示します。 牛刀割鶏の感がありますが、上からの評価をコンパクト集合から閉集合へ拡張するために用いたDonsker-Varadhanのアイデアが有効に働きます。 時間変更に対するディリクレ形式の変換論は、ディリクレ形式論におけるキーポイントだと言っても言い過ぎではないでしょう。 この講義では、$L^p$-独立性を時間変更過程に応用し、加法汎関数の性質を調べます。特に、M. Kacによる全滞在時間や散乱距離に関する公式を時間変更を使って導いてみます。- 講義の予定
1. Dirichlet forms: $L^2$-theory in Markov processes
2. Donsker-Varadan type large deviation principle for symmetric Markov processes
3. $L^p$-independence of growth bounds of symmetric Markov semigroups
4. Random time change and a formula on scattering length
5. Some topics connected with gaugeability for Feynman-Kac functionals
- 講義の予定
時間割
8月8日(月) | 14:00-15:30 竹田 |
15:50-17:20 笹本 |
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8月9日(火) | 9:20ー10:50 笹本 |
11:00ー12:00 竹田 |
13:30ー15:00 竹田 |
15:20ー17:20 Young Forum |
8月10日(水) | 9:20ー10:20 竹田 |
10:30ー12:00 笹本 |
13:30ー15:00 竹田 |
15:20ー17:20 Young Forum |
8月11日(木) | 9:20ー10:20 笹本 |
10:30ー12:00 笹本 |