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講義内容
  • 講義ノート(予稿集)の印刷にはAdobe Reader(無料・下画像からダウンロード可能)をご利用ください。
  • 経費削減のため、会場では予稿集の配布を行いません。事前に印刷したものを持参してください。
  • 予め印刷したものを準備することができない方に限り、事前にお申し込みいただいた分の予稿集を準備いたします。ご希望の方は参加申し込みのページにて別途お申し込みください。


大偏差原理
大偏差原理(田村要造・千代延大造)
独立同分布の確率変数の和に関する基本的な極限定理に大数の法則がある。大数の法則が成立しているとき、収束先である平均値の近くでの、より詳しい収束の様子は、分散が有限であれば、中心極限定理によって与えられる。これに対し、大偏差原理は、大数の法則のように分布がデルタ分布に収束しているとき、収束先から”大きく”離れた稀な事象の確率の漸近的なふるまいをみようとするものである。
講義ノート (2007/07/26掲載)
イジング模型における大偏差原理と相転移(杉峰伸明)
本稿では、 高次元イジング模型における相転移下での大偏差原理([B99, BIV00, CP00]) の紹介を目的とし、[P96] において提案された粗視化等のその理解に必要なことがらを解説する。クラメールの定理と同様のオーダーを持つ体積オーダー大偏差原理は、(無限体積) ギブス測度のエルゴード性から導かれるが、相転移下においてはその速さ関数の零点が区間を形成するため、特にその区間では有益な意味を成さない。それ故相転移下では、より低次のオーダーの大偏差原理が要請され、そのオーダーは、相転移を支配する(系の) 境界のオーダーである表面積オーダーとなる。またその速さ関数は、相転移の秩序変数でもある表面張力から定まる汎関数によって与えられ、その最小値は変分問題を解くウルフ図形によって実現される。
講義ノート (2007/07/26掲載)
モンテカルロ法, 乱数, および疑似乱数(杉田洋)
乱数は1960年代にコルモゴロフらが計算の複雑さの概念を用いて定義しました。疑似乱数は1980年代にブラムらが計算量理論において定義しました。講義では、これらの定義が生かされるようにモンテカルロ法を「確率的ゲーム」として定式化します。その結果、モンテカルロ積分(大数の法則を利用して確率変数の平均を求める数値計算法)に限れば、乱数の完全な代用となる疑似乱数がすでに実用 化されていることが分かります。
第1回
モンテカルロ法の確率的ゲーム(賭け)としての定式化
第2回
コルモゴロフの計算の複雑さと乱数の理論
第3回
計算量的に安全な疑似乱数について
第4回
モンテカルロ積分のためのサンプリング法について
講義ノート (2007/07/25掲載)


時間割

  • 下記時間割は予定であり、今後事情により変更されることがあります。
  • 毎日わずかずつ時間割が異なっておりますのでご注意ください。
  • Young forumは参加している大学院生の方を中心に、現在勉強していること、これから勉強したいこと、現在研究中の課題などについて約5分程度以内で紹介をしてもらう時間です。当日会場にて受け付けます。


8月7日 8月8日 8月9日 8月10日
1時限目   9:20〜10:50
杉田(II)
9:20〜10:20
千代延(II)
9:20〜10:20
杉田(IV)
2時限目 11:00〜12:00
田村(II)
10:30〜12:00
杉峰(I)
10:30〜12:00
杉峰(III)
3時限目 14:00〜15:30
田村(I)
13:30〜15:00
千代延(I)
13:30〜15:00
杉峰(II)
4時限目 15:50〜16:50
杉田(I)
15:20〜
Young forum(I)
15:20〜16:20
杉田(III)
5時限目   16:30〜
Young forum(II)

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コラム

大偏差原理
2007年のアーベル賞S. R. S. Varadhan授与されました(確率論への貢献、とくに大偏差原理の統一した理論を構築したことに対して)。大偏差原理は大数の法則・中心極限定理に続く確率論第三の極限定理として知られていますが、上記受賞理由Lindstromによる紹介にも書かれているように、その応用範囲は広く、現代確率論の重要な基礎理論となっています。



モンテカルロ法
モンテカルロ法は「シミュレーションや数値計算を乱数を用いて行なう手法」(Wikipedia)などと言われています。1940年代第二次世界大戦末期に、フォン・ノイマンウラムらが米国のロスアラモス研究所で核分裂物質中の中性子の拡散現象をシミュレートしたのが、モンテカルロ法の始まりと言われています。その後、コンピュータの急速な発達に伴い、モンテカルロ法はあらゆる科学技術領域で大いに活用されてきました。
しかし「コンピュータでは乱数を生成することはできない」という原理的困難があって、乱数の代わりに疑似乱数(コンピュータで生成される乱数に似た数列)を用いて計算しているので、じつはモンテカルロ法の数学的基盤は磐石ではありません。
そもそも,乱数って何でしょう? それに似ている疑似乱数って何でしょう? こうした問いかけを続けていくと、計算論、計算量理論の深い理論へと繋がって行きます。そして、モンテカルロ法の数学的基盤もしかっりしたものになって来ます。